幻想的な風景と現実的な風景を
交錯させるための
ストーリーの手法としては、
1、タイム・
スリップ。
2、宇宙的なもの。
3、霊的なもの。
4、幻覚剤を使用した時の様子や死の間際に見る光景など、
それら人間の心の内側にある狂気、潜在意識。
と、大きく4パターンがあるように思う。
1は典型的な手法で『12モンキーズ』が面白かった。
『ターミネーター』もこの類だ。
2は『
エイリアン』『遊星からの物体X』など、
この手法を用いた作品も多い。
3は『エクソシスト』『
ポルターガイスト』『
悪魔の棲む家』
『インディー・ジョーンズ』でも聖杯を飲むシーンで、
霊的な非現実的な光景を描いている。
物凄く幻想的な『ヘルレイザー』で描かれる光景は、
神秘的とも言えるだろう。
あの世、地獄とは、ひょっとすると、
こんなものなのかも知れないという
恐怖心をあおる。
4は『ジェイコブズ・ラダー』の描き方がすごい。
『ザ・セル』も、まさに美しいくらいの幻想的な風景だ。
そして、この『バニラ・スカイ』も
パターン4に属す秀作と言えるだろう。
ストーリーの中盤辺りから
どこまでが現実で、
どこまでが幻覚なのか
解らなくなってくる。
そして後半から
観る者に
大いなる不安感を与えてくる。
まさに
スピーディーに
叩き落される。
これら幻想と現実を交錯させるストーリーは、
完全にリアリティを失ってしまうと
つまらない作品に陥ってしまう。
だが、リアリティが――
つまり「本当に、こんなことがあるかも知れない」という
そんな感覚が残されることによって
観る者に恐怖、不安、スリルを与えるものとなる。
その点において、
この『バニラ・スカイ』は
実に見事に不安が描かれている。
ひょっとすると
コンピュータが発達した未来において、
起こり得ることなんじゃないのか、と。
地球環境は急速な勢いで崩壊に向かっており、
約100年後には相当に広大な
土地が
砂漠化し、海没することが解っている。
住む国を失い、飢饉や伝染病が巻き起こり、
今よりも自殺を望む人々は
確実に増加するとオレは思う。
たとえば100年後、
それ相応に高度に発展したコンピュータ社会において、
こんな
システムに関するニーズは
確実に増えるのではないのか・・・・と。
もしオレが100年後の社会に
若くして生きていて、
社会的な地位が高く、
カネを持っていたとしたら、
このシステムに頼るのではないのか、と。
そんな不安や恐怖を実感させる映画と
言えるんじゃないのか・・・・。